内容証明郵便はおもにつぎのような場合に利用されます。
① 家賃の支払い請求
② 貸金の弁済請求
③ 売掛金の支払い請求
④ 商品代金の支払い請求
⑤ 商品の引き渡し請求
⑥ 暴行や傷害、名誉棄損などに対する損害賠償(慰謝料)請求
⑦ 配偶者の不倫相手に対する損害賠償(慰謝料)請求
結論から申し上げますと、これらの件で内容証明郵便を出したからといって、お金の請求に法的な強制力が生まれるわけではありません。
また、相手に返事を出す義務が生じるわけでもありません。
ただ、ふつうの郵便と違う点は、どんな内容の郵便を、いつ、だれが、だれに対して出したのかということを、郵便局が証明してくれるということです。
それでは内容証明を出しても意味がないと思うかもしれません。
しかし、それがそうでもないのです。
じつは、内容証明郵便の利点は、相手方に心理的な圧迫を与えることができる点にあるのです。
内容証明は1行20文字、1枚あたり26行と形式が決まっており、文字と文字が間隔をあけて整然とならんでいます。
見た目の印象は、ふつうの郵便とくらべるとかなり格式ばった感じに見えます。
金銭の支払いを要求する文言のほか、支払いがない場合は法的手段に移行するとも書かれており、受け取った側は、かなり大きな心理的圧力を感じるはずです。
そして、差し出した日付とともに、内容証明として差し出されたことを証明する日本郵便株式会社の判が押してあり、それが見た目の物々しさを一層引き立てています。
しかし、何よりも相手が緊張を感じるのは、作成代理人として弁護士や行政書士の名前が記されており、その横に職印が押されていることではないでしょうか。
専門家には頼らずに、内容証明はもちろん自分で出すこともできます。
しかし、弁護士や行政書士の名前と職印が入ったものとそうでないものでは、相手に与える心理的効果はかなり違ったものになると思います。
職印入りの内容証明を送ったことにより、それまで支払の請求にいっこうに応じなかった相手が、すんなりと応じてくれたという例は実際に数多くあります。
内容証明の作成は弁護士か行政書士に依頼することができます。
どちらに依頼するかを決めるためのポイントは以下のとおりです。
まずは料金です。
内容証明の作成を弁護士に依頼する場合、その後の交渉の費用は含まずに、作成のみの費用でおおむね3万円台から5万円台が相場のようです。
それに対して、行政書士の場合は1万円台から2万円台のところが多いようです。
弁護士が作成したものであっても、行政書士が作成したものであっても、内容証明の中身そのものに大きな違いはありません。
したがって、費用で考えるのであれば、行政書士に依頼をしたほうが安く抑えることができます。
しかし、すでに当事者間で紛争になっているものや、これから紛争に発展する可能性が高いものについては、行政書士は関与をすることができません。
また、行政書士はその後の交渉の代理人になることもできません。
したがって、内容証明の作成だけでなく、その後の相手方との交渉も含めて任せたいという場合には、弁護士に依頼していただくことになります。
しかし、まずは内容証明を送ってみて、相手の反応を見てみたいというのであれば、行政書士に依頼をするのも一つの方法だと思います。
当事務所では内容証明の作成だけではなく、相手方への発送までをお引き受けいたします。
どうぞお気軽にご相談ください。